a-i.

宮崎県綾町の養蚕・天然灰汁発酵建てによる藍染めと紬・絣織の着物づくりを行う染織工房で働いております。

養蚕業は必要か。

この春から養蚕業についてもそれなりに力を注ぐ予定になっている。

 

先日は桑畑に植え付けも行った。2年後を見据えてのことで。

 

でも最近思うのは、どの程度「昔ながら」が必要とされるのかということで。

 

 

【日本に昔ながらの養蚕業はどれくらい必要なのか】

果たして「残されるべきものなのか」というところで。

 

◯ 基本的には他の一次産業と似ているはず

 

今、全国で養蚕業は衰退の一歩をたどってる。

理由は外国産の安いものが云々、コスパが云々。

 

最近は大きな蚕関係の組織が、「純国産繭」なるものを謳っているけど、

要は国産牛みたいなもんで、和牛じゃない。

和牛みたいな在来の蚕なんて

もう1%程度しかやってないんじゃないかと思うくらい。

 

【自分の把握する最先端の蚕】

ましてや最近はIoT の流れを受けて、

電気伝導性の高い絹糸の開発だったり、

蜘蛛の糸の性質を再現した絹糸の開発

そして蛍光性のある絹糸の開発など、

「量」や「高品質」よりも「技術の組み合わせ」の時代。

少なくとも先進国においては。

 

だって、普通の蚕なら中国やらアジア各国が作ってくれてるもの。

オーガニックコットンが質を中心に色んな形で脚光を浴びる中、

斜陽産業として末路が近づく養蚕業。

養蚕業が歩むべき道は「昔ながらのー」じゃない。そんな気がしてる。

 

【水耕栽培みたいな、養蚕工場は現実化してる】

すでに幾つかのところでは、いちいち桑畑作って人手かけて毎日桑の葉切ったりせずに、無菌状態の工場で全てを人工飼料で賄う業者も出てきてる。

初期投資は高くとも、全体で考えればそう高いものじゃないはず。

品質もそれなりだろう。

それならわざわざ国産牛を手間暇かけて桑畑をヒイヒイ言いながら管理する必要砂なくなってくるんじゃないかと思っちゃう。

オーガニックの人工飼料が出てくればみんな喜ぶっちゃないかなーとかすら。

少なくとも国産牛みたいな蚕に関しては。

 

【和牛をどうするか】

自分ごとになるから少し格上げ感が出てくるかもしれんけど

自分の工房では和牛を養ってます。

在来種、古くから日本で飼われてきたという蚕を。

それを交雑種と掛け合わせた新小石丸というのがあるけれど、

それではなく、小石丸。

大きな理由は2つ

・絹糸としての圧倒的な軽さと光沢、伸張など、糸そのものの質

・本藍染めを重ねた時に出やすいラウジネス現象の不発現

ラウジネス現象は、要は毛羽立ちによる粉拭き現象。

藍で染まった中で細かく白いのが見えると、こだわる側としては譲れない様。

 

最初は「そんな変わらんやろ」と思ってたけど、見せられるとわかる。

 

だからこそ美しいと思うし、この組み合わせはすごいな!って思う。

 

デメリットは、生産性

これに尽きるといったところ。だから養蚕農家だけの人はやらないところが多い。

 

でもこれを桑畑の桑の葉使って育てないかんかて言われたらおそらくそうじゃなくて。オーガニックの人工飼料でたらそれで育ててみたいと思わん事もなくて。

 

今の時点で人工飼料は出てるけれども、どうせならオーガニックとか。ありそう。

 

 

 

駄文を連ねたけれど、

養蚕業は、工業にしちゃっていいのではないかということです。

すでにあるけどね。わざわざ広大な桑畑を管理する必要があるのかどうかというところ。

 

 

だって、なかなか辛いんですもの。 農家さん、すごいです。